内部障害リハビリテーションのすすめ

理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士です。心電図検定3級。内部障害を理解し臨床で活かす為のブログ。

胸郭と胸腔、胸水の話

胸郭とは骨性胸郭(肋骨、胸骨、椎骨)とそれに付着する筋肉よりなる。

胸郭と横隔膜によって形成される体腔を胸腔と呼ぶ。胸腔は縦隔により左右に分割される。

 

壁側胸膜と臓側胸膜とは肺門で互いに移行しており閉鎖された空間、すなわち胸膜腔を形成している。胸膜腔には常に少量の胸水が存在しており、壁側胸膜が胸水を産生し等量の胸水を臓側胸膜が吸収することでバランスをとっている。

壁側胸膜には大循環系に属する毛細血管が存在し、その内部には30cmH2Oの静水圧が存在し、胸壁内圧の−5cmH2Oの静水圧との間に35cmH2Oの圧差が存在する。一方大循環

系の膠質浸透圧は34cmH2O、胸水のそれは8cmH2O、両者の圧差は26cmH2Oとなる。よって静水圧差と膠質浸透圧差の間には9cmH2Oの圧差が存在するこ とになり、この圧差で壁側胸膜から胸腔に水分の濾出がおこる。他方、臓側胸膜には低圧系に属する肺毛細血管が存在し、その静水圧は11cmH2Oで胸腔との間には16cmH2Oの静水圧差が存在し、両者の間の膠質浸透圧差は前述のごとく26cmH2Oであるから、ここには静水圧差と膠質浸透圧差の間に―10cmH2Oの圧差が存在することにな り、この圧差で胸腔から臓側胸膜に水分の吸収がおこり、balanceが維持されると考える。  吉良 枝郎

 

胸膜腔内圧は安静時吸気時で−4から−8cmH2O、呼気時で−2からー4cmH2Oである。

声門を閉じて努力的に呼吸運動を行なうと吸気時には−40cmH2Oとなり、呼気時には+40cmH2Oに達する。

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