呼吸不全とは
呼吸不全とは
(厚生省呼吸不全調査研究班)
①室内気吸入時の動脈血酸素分圧が60Torr以下となる呼吸器系の機能障害またはそれに相当する異常状態を呼吸不全と診断する。
②呼吸不全の型を2型に分け、動脈血二酸化炭素分圧が45Torrを越えて異常な高値を呈するものとしからざるものとに分類する。
③慢性呼吸不全とは呼吸不全の状態が少なくとも1ヶ月以上持続するものをいう。なお、動脈血酸素分圧が60Torr以上であり、呼吸不全と診断されるには至らないが、ボーダーライン(60Torr以上、70Torr以下)にあり、呼吸不全に陥る可能性の大なる症例を準呼吸不全として扱う。
酸素化不全(Ⅰ型呼吸不全)
酸素化不全とはPaCO2が正常(換気が正常)で、PaO2が空気呼吸下で60mmHg未満となる呼吸不全。
【臨床的には】
PaO2は酸素化の指標として重要であるが、FIO2(吸入気酸素濃度)、気圧、PaCO2の値に影響を受ける。そのため、酸素化の評価にはFIO2や気圧、PaCO2から導き出されるPAO2との比較が重要である。
PAO2=PIO2-PaCO2/R
=FIO2(760-47)-PaCO2/0.8
=150-PaCO2/0.8 (室内気の場合)
*R:呼吸商
すなわち、酸素化の評価にはA-aDO2(肺胞気動脈血酸素分圧較差)を見る必要がある。A-aDO2についてはこちら。
ただし、FIO2が20%〜40%までの間では急峻に変化するので吸入気が室内気でない場合には解釈に注意を要する。 FIO2が21%以上の場合には酸素化指数(P/F ratio)によって肺内ガス交換障害の程度を評価することが推奨されている。
換気不全(Ⅱ型呼吸不全)
換気不全とは、肺胞換気量が減少しPaCO2が上昇する呼吸不全
PaCO2=VCO2×0.863/VA
すなわち、PaCO2は炭酸ガス産生量(VCO2)に正比例し、肺胞換気量(VA)に反比例する。
PaCO2は換気の指標であり、PaCO2が45mmHg以上に上昇する場合は換気不全である。
PaCO2が35mmHg以下では過換気、80mmHg以上ではCO2ナルコーシスで昏睡状態となる。